← Back to letters18年4月29日
署名もなくタイプされたスペイン語の文章を添えた手紙には、小型装置の操作方法が記されていた。その装置は、多孔質のマット(フィルター)や発泡スチロールなどの泡状のものの上に置く必要があった。私はその箱に近づき(母音を強調して)「iiiiaaaa」という二重母音を発音するだけでよかった。ある程度の警戒心を抱きつつも、試してみることにした。この一件は不合理で奇妙に思えた。音響励起による爆発物かもしれないという考えも頭をよぎったが、その考えをあまりにも幼稚で小説じみているとして即座に退けた。ただし、机上にその装置を持ち込み、妻には不安を伝えないほうが良いと判断した。確かそれは月曜日で、休暇中だったと記憶している。(訳注:手書きで「3−1−66」と追記あり)
管理人に研究室の鍵を借り、装置の大きさを測ったが、裏にあいた穴に何かを差し込む勇気はなかった。中からは何の機械音も聞こえなかった。懐中電灯で穴を照らしても、機構の一部は見えなかった。ある穴の奥、軸上に細い銀色かクロムめっきの針のようなものがうっすら見えた。
最後に、指示通りに試みる決心をした。奇妙な装置を埃拭き用のモップ、少し洗った唯一のものの上に置き、付属のメモに従って画面の前で母音を発した。口の位置を変えてもう2回繰り返した。画面は突然明るく点灯し、直感的に私は装置から離れた。そこには明らかに立体視で深みのある画像が現れた。それは顕微鏡の標本のようだったが、普通の光学顕微鏡の接眼レンズ越しの視界とは異なり、深い視野の異なる層がピントを失うことなく全ての部分が鮮明に観察できた。
当然、動的に動く画像の正体は特定できなかった。粘性のある塊が高速で横断するように流れていた。これは圧倒的に電子顕微鏡よりは倍率が低いものの、組織標本の生理学的過程を大きく拡大して映しているようだった。もっとも驚異的だったのは、動的に生きた様子が見られ、色彩の鮮明さと画像の立体感が完璧だったことである。
後に知ったことだが、これは連鎖している二つの神経細胞の隣接する樹状突起間のシナプスの観察だった。アセチルコリンの分子構造も驚くほど鮮明に識別できたのだ、なぜなら画像の解像度がそれほど高かったからである。さらに驚くべきは、この画像が磁気記録や映画のような何らかの記録映像ではなく、装置内に設置された「in vitro」の生理標本の実際の動きを示している点である。これは、組織の細胞死を防ぐ未知の技術が用いられていることを示唆している。
同じ夜(訳注:手書き「月曜 3−1−66」との追記あり)、私は再び未知の装置を作動させた。体験に強い感銘を受けた私は、見た映像の正体をその装置に尋ねた。さらに、装置の停止方法もわからなかった。装置は詳しく説明し、加えて「ulodooisagii」と呼ばれる、装置内部に含まれる三つの他の組織標本の映像を観る方法も教えてくれた。また、その装置を二日後に取りに来る他者がいるとも告げた。
翌日(訳注:手書き「4−1−66」との追記あり)、私は友人に日本製カメラ「キャノン」を借りるよう頼んだが、真の理由は告げなかった。彼は使い方を教えてくれ、装填済みのカメラを貸してくれた。(私の写真経験は実験でよく使うコンタックスがせいぜいだった。)
その後、私は18コマ/秒の速度で撮影された約7メートルのフィルムを手に入れた。その中には装置の様々な映像や、定規を添えた基準映像と、装置内で観察された生理学的組織過程の諸々の映像が含まれている。使用フィルムは848/1373だ。
Lettre Ummite#850